古代エジプトの昔から、歯の抜けた所に人工の歯を補うという考え方があったと言われています。近世ヨーロッパにおいては、動物の骨や抜けた歯を削り、スプリングなどで固定するという方法がありました。けれどもこれらは、外見の回復が主で、まだ食物を噛むという実用性には欠けるものだったようです。

 

さて、日本では今からおよそ四五〇年前の室町時代、天文七年に没した女性が使用したとおもわれる木床義歯が発見され、これが現存する世界最古の入れ歯と言われます。

 

西欧では、ようやく一八〇〇年頃に床義歯が実用化されはじめました。このように、日本の歯科技術は西欧に比べ三百年以上も進んでいたことになります。

 

 

木床義歯 裏側には水分を含めた和紙を入れて痛くないようにしていたそうです。

 

明治時代以後、西欧からゴム床義歯が導入され、人工歯も従来のロウ石や動物の骨に変わって陶器の歯、いわゆる陶歯が開発され、日本でも製造されるようになり、歯科の歴史にも文明開化がおとずれました。

 

しかし、大正時代に入っても義歯はまだまだ一部の階級の人々のものでした。同時に、製品としての義歯の耐久性、衛生性、審美性などは現在から見ると比べものにならないものでした。

 

ゴム床義歯

昭和初期ドイツでアクリル系樹脂による義歯床が開発され、その後まもなく我が国に紹介されました。このアクリル義歯床の登場は画期的な出来事で、従来のゴム床に比べ、天然の歯ぐきの色によく調和し美しく、歯科医師の方々にも喜ばれました。また、それまで一部の人々のものであった義歯も健康保険の適用により、多くの人々が利用できるようになりました。

アクリル系床義歯
 

 


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